混雑状況
2018年8月3日金曜日のお昼頃。 すいていました。2006年に近代美術館で開かれたフジタの展覧会以来のゆったり感です。
もっとも連日の猛暑&開催されて間もないからではないかと思われます。行かれる方は「命にかかわる猛暑」と戦う覚悟で、上野公園を突っ切ってください。
毎回、激混みのフジタ展です。後になればなるほど、混み具合が上がると思われます。フィフティーズ、フジタファンの皆様は、体力的に厳しいかもしれませんが、それを押してでも行く価値大です。
アクセス
最寄駅
東京都美術館は、JR上野駅「公園口」からですと、徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅「7番出口」からですと、徒歩10分。京成線京成上野駅からですと、同じく徒歩10分。
JR上野駅からの道順
今回はJR上野駅からの道順をご紹介します。
まず、JR上野駅に着きましたら、「公園口」の改札を目指して下さい。まだ、チケットを購入していない方は改札内にもチケット売り場が開設されています。(会場についてからも販売していますが、フジタファンは前売り持ってますよね)
東京都美術館は、簡単に言ってしまえば、上野動物園入り口を目指して進むと、右側にあります。公式の案内ですと上野駅改札口から徒歩7分とありますが、今の時期、早くても10分はかかるでしょう。なんせ、命にかかわる猛暑です。

水を携帯するか,上野駅構内のコンビニでガリガリ君リッチショコラを入手してから、上野公園砂漠に突入しましょう。とにかく、熱い。いや、暑い。ガリガリ君もあっという間に溶けていきます。

ちなみにガリガリ君の先に見えるのは、国立西洋美術館。現在、「ミケランジェロ展」開催中です。
西洋美術館を正面に見たら、左に曲がりましょう。後は、まっすぐ進みます。

途中、右側に遠く、噴き出す噴水の向こう、東京国立博物館が見えてきます。見事に人影がまばらです。暑い。いや、熱い!行き倒れになる前に先を急ぎましょう。
上野動物公園のチケット販売所が見えたら、右方面を探してください。こんな建物が見えてきます。ここが、東京都美術館です。

入り口は地下にありますので、エスカレーター、エレベーター、もしくは階段で下に降りましょう。

チケット売り場も全く並んでいません。これを左に曲がると会場です。

暑い中、お疲れ様でした。めくるめく極上のフジタワールドが貴方をお待ちしています。
藤田嗣治
少女マンガで育ったと言っても過言ではない、ワタクシ、dokiko。潜在意識に刷り込まれた黒い線画が大好きな中学生dokikoは、ある画家のリトグラフに一目惚れします。繊細な線で描かれた少し腺病質な女性のポートレート。それを描いたのが藤田嗣治。レオナール・フジタでした。
猫と女
この2つはフジタの主要な題材でした。乳白色のキャンパスに浮かび上がる艶かしい女性の肌。その隣りに横たわり野生の瞳を輝かせる猫。
途切れなく描かれた流れるような細い線と乳白色のキャンパスの秘密を探ろうと、かのピカソもキャンパスの前で長くたたずんでいたと言います。この2つは誰にも真似の出来ない藤田独自のものでした。
おかっぱ頭にロイド眼鏡。奇妙な格好をトレードマークとした藤田は、自己ブランディング能力も高く、今の世でも間違いなく成功していた事でしょう。
日本で黒田清輝に師事した後、パリに渡ったフジタですが、程なく第1次世界大戦がはじまってしまいます。当時のパリには後世、巨匠と呼ばれる画家達がたくさん屯っておりました。
戦争勃発に伴い、祖国に帰らずフランスの地に残る事を選んだボヘミアン達。その間も自らの腕を磨く事を彼らは忘れませんでした。そしてエコール・ド・パリと呼ばれる夢のような時代がやってきます。
エコール・ド・パリ
20世紀前半、各国から集まった芸術家たちは、第1次世界大戦の荒波を乗り越え、フランスパリのモンマルトルやモンパルナスで花を咲かせていきます。
アメディオ・モディリアーリ
モイーズ・キスリング
ジュール・パスキン
モーリス・ユトリロ
シャガール
エリック・サティもこの時代に掛かっていたのではないかと記憶しています。
そして写真家のマン・レイ。
彼の代表作の1つに「アングルのヴァイオリン」があります。ターバンを巻いた後ろ向きの女性の背中にはバイオリンのf字孔。女性ならではの優しい曲線をヴァイオリンのシルエットと見立てた作品は、1度見ると忘れる事ができません。
このモデルがエコール・ド・パリの中心モンパルナスの女王と言われた「キキ」でした。
キキは写真のモデルのみならず画家達のモデルとしても引っ張りだこでしたが、その最後は寂しいものだったようです。そしてその葬儀に当時の仲間はほとんど列席しませんでした。彼女をこぞってモデルとした画家たちも既に大家として名を上げており彼女の存在自体を忘れていたのかもしれません。そんな中、同じ時代を過ごした仲間として唯一フジタはその列に加わったのです。
フジタの人となりが良く分かるエピソードではないでしょうか。
成功したフジタは毎夜毎夜パーティに表れては乱痴気騒ぎを繰り返していたようです。髭のついたまま女装して夜会で踊る映像が今でも残っています。しかし、実はどんなにバカ騒ぎをしていてもフジタは酒を一滴もたしなまず、どんなに遅く帰ってもそれから絵筆を握りキャンパスに向かっていた…と伝えられています。
人目を引く派手な衣装や行動。
遠い異国の地で何の縁故も持たない彼が成功を続ける為には、その力量のみならず如何に人々の興味を引き続けられるか。その必要性を彼は理解していたんでしょうね。(嫌いではなかったと思います・・・笑)
パリで成功したフジタは日本に凱旋します。フランス画壇の寵児だった彼は日本でも活躍しますがその時代背景が悪かった。第2次世界大戦の勃発です。
第2次世界大戦の勃発
当時、著名な画家達は、ほとんど戦争画を残しています。
二科展の会員となっていたフジタも戦争画の大作を何枚か残しています。しかし戦後、日本画壇はその戦争画を描いて国民をアジテートしたというGHQの追及をフジタ1人になすりつけようとします。自ら進んで戦犯になってくれと迫るのです。
結局罪に問われる事にはなりませんでしたが、そんな日本に嫌気がさしたのでしょう。フジタは日本を離れる決意をします。そして2度と日本の地を踏むことはありませんでした。
そんな経緯もあったせいでしょうか。戦後の日本ではフジタの評価は芳しいものではありません。
この頃、フジタは前妻のマドレーヌと死別し、5人目の奥さんをむかえていました。君代婦人です。夫人は戦後の出来事を忘れる事が出来ず、長く日本に対してフジタの版権を許す事がありませんでした。
私が初めてフジタの名前を知った頃、画集はおろか絵葉書もほとんど手に入らず、後に理由を知り、納得した次第です。
今回の展示では、フジタが一生を通して残した作品が網羅されています。絵画はもちろん、フジタの残した手仕事の品々。そしてその集大成となるランスの教会。今回はフジタが洗礼を受けた時に献納した聖母子像が展示されています。
今から30年程前、フジタが最後に残したランスの教会を見たくてランスまで行った事があります。旅行代金が一番安い2月で、しかもパリのみの一週間でした。それでもツアー代金は30万弱程度、諸費用滞在費入れたら、40万を軽く超えていたと思います。海外旅行は本当に高かったんです。
しかし旅行を決めた後に、残念な事が判明。実は冬季、ランスの教会は一般公開していなったのです。当時、ネットは普及しておらず、詳細な情報源は唯一、地球の歩き方だけだったのを懐かしく思い出します。
閉ざされたランスの教会の門の前で、それでも満足して暫くの時を過ごしました。
著作権が切れるまで
フジタが亡くなったのは、1968年1月29日。50年という著作権が切れるまで、残念ながら広く作品を紹介する事はできません。フジタはもちろん、最後まで作品を守り抜いた君代夫人にも敬意を表しつつ、ブログを締めくくりたいと思います。
J’aime foufou.
展覧会基本情報
開催期間
会場
上野、東京都美術館
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休館日
- 月曜日、9月18日(火)、25日(火)
ただし、8月13日(月)、9月17日(月・祝)、24日(月・休)、10月1日(月)、8日(月・祝)は開室
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開催時間
- 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
- 金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
ただし、8月3日(金)、10日(金)、17日(金)、24日(金)、31日(金)は 9:30~21:00
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料金
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前売券 一般 1,400円 大学生・専門学校生 1,100円 高校生 600円 65歳以上 800円
当日券 一般 1,600円 大学生・専門学校生 1,300円 高校生 800円 65歳以上 1,000円
団体券 一般 1,400円 大学生・専門学校生 1,100円 高校生 600円 65歳以上 800円
※団体割引の対象は20名以上
※中学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳を持参の方とその付添いの方(1名まで)は無料
※いずれも証明できるものをご持参ください。
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藤田嗣治展特設サイト
- http://foujita2018.jp
※東京都美術館HPより